インフルエンザが原因で抜け毛は増える?回復までの期間と対処法
インフルエンザから回復した後、抜け毛が増えたと感じる方は少なくありません。
発熱や体調不良による身体への負担は、髪の成長サイクルに影響を与えることがあります。多くの場合、症状は一時的とされています。
本記事では、インフルエンザと抜け毛の関係について解説します。回復までにかかる期間の目安や、自宅でできる対処法も紹介しますので、参考にしてください。
適切なケアを知っておけば、インフルエンザに罹った後も不安を軽減できるでしょう。また医療機関を受診すべきタイミングについてもお伝えします。
インフルエンザで抜け毛が増える理由
インフルエンザなどの高熱が原因である場合の抜け毛は、数日後から数ヶ月後に急に髪が抜け始めるため、原因がインフルエンザだと気づきにくいケースが多いのです。
この現象は「休止期脱毛症」と呼ばれる症状で、一時的なものではありますが正しく理解したうえで適切な対処が求められます。
高熱が引き起こす休止期脱毛症
インフルエンザによる高熱は、身体に強いストレスを与えます。体温が38度以上になると、身体は病気と戦うためにエネルギーを集中させ、髪の成長は後回しにされてしまいます。
この状態が続くと、本来成長期にあるはずの髪の毛が休止期に移行してしまうのです。通常、髪全体の約10~20%が休止期にありますが、休止期脱毛症では休止期にある髪の割合が大きく増加します。
免疫機能が一時的に乱れ、毛根へのダメージが生じてしまうため、多くの髪が同時に抜け落ちる状態になります。特に頭部全体から均等に髪が抜けるのが特徴で、部分的な脱毛とは異なる症状です。
発症までの期間は個人差が大きい
インフルエンザの高熱が出てから、実際に抜け毛が増えるまでには時間差があります。早い人では数日後から抜け始めますが、多くの場合は2~3ヶ月後に症状が現れます。これはヘアサイクルの仕組みが関係しています。
髪の毛は成長期、退行期、休止期というサイクルを繰り返しており、高熱によって成長が止まった髪は、すぐには抜けません。休止期に入った髪が自然に抜け落ちるまでには一定の期間が必要なため、抜け毛とインフルエンザの関連に気づかない方も多いでしょう。
シャンプーやブラッシングの際に、いつもより多くの髪が抜けることに気づいたら、数ヶ月前に高熱が出るような病気にかかったかどうかを思い出してみてください。
抜け毛はいつまで続く?回復期間
インフルエンザによる抜け毛を経験すると、いつ回復するのか不安になります。休止期脱毛症は基本的に一時的な症状で、毛根自体は生きているため、適切な対応をすれば髪は再び生えてきます。
ただし、完全に元の状態に戻るのは脱毛後すぐではなく、数ヶ月単位みておく必要があります。
回復には6ヶ月程度かかることも
休止期脱毛症から回復するまでの期間には個人差があります。1ヶ月程度で戻ったと感じる方もいますが半年程度かかる方もいます。
回復までの目安期間は、髪の成長サイクルに基づいた期間と考えるとよいでしょう。
| 時期 | 髪の状態 |
|---|---|
| 発熱後すぐ~3ヶ月 | 髪が休止期に移行 |
| 発熱後2~3ヶ月 | 抜け毛が増え始める |
| 抜け毛開始後3ヶ月 | 新しい髪が生え始める |
| 抜け毛開始後6ヶ月~1年 | 髪のボリュームも回復 |
まず、休止期に入った髪が抜け落ちるまでに約3ヶ月かかります。その後、新しい髪が生え始め、ある程度の長さまで成長するのにさらに3ヶ月以上必要になります。
つまり、目に見えて髪が戻ってきたと実感できるまでには、最低でも6ヶ月程度を見込んでおく必要があるでしょう。
髪が完全に元の状態に戻り、ボリュームが回復するまでには、さらに半年から1年程度の期間がかかる可能性もあります。
自然に改善するケースが多い
休止期脱毛症の大きな特徴は、原因となるストレス源が解消されれば、自然に回復する可能性が高いという点です。インフルエンザから回復し、体調が元に戻れば、髪の成長サイクルも正常化していきます。
ただし、抜け毛の状態が気になりすぎると、それ自体が新たなストレスとなり、回復を遅らせる原因になることもあります。過度に心配しすぎず、体調管理とケアを心がけながら、回復を待つことが望ましいでしょう。
長期間経っても改善が見られない場合や、抜け毛の量が減らない場合は、他の原因による脱毛も考えられます。なかなか回復しない時は専門医への相談も検討しましょう。
インフルエンザによる抜け毛の対処法
インフルエンザによる抜け毛を経験した際には、基本的に自然に治る症状と考えておいてよいでしょう。ただし適切な対処を行うことで回復を促すことができます。
特別に難しいケアではなく、生活習慣の見直しを中心として焦らず対処していきましょう。
栄養バランスを整える
髪の成長には、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素が欠かせません。インフルエンザから回復して食欲も少しずつ出てきた後は、バランスの良い食事を心がけましょう。
特に髪の主成分であるタンパク質は、肉、魚、卵、大豆製品などから積極的に摂取する必要があります。また、ビタミンB群や亜鉛、鉄分なども髪の成長をサポートする栄養素です。
緑黄色野菜や海藻類、ナッツ類なども取り入れると良いでしょう。偏った食生活は、髪の回復を遅らせる原因になります。
規則正しく、栄養バランスの取れた食事を3食しっかりと摂ることが基本です。
参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(各論)
頭皮ケアと睡眠で血行を促進する
頭皮の血行を良くすると、毛根に栄養や酸素が届きやすくなります。シャンプーの際には、指の腹を使って頭皮を優しくマッサージしましょう。
頭皮マッサージは、心臓から遠い頭部の血流を改善する効果があります。1日5分程度、リラックスした状態で行うと効果的です。強くこすりすぎると頭皮を傷める可能性があるため、優しく丁寧に行うことがポイントです。
また、睡眠不足は血行不良を招きます。1日7時間程度の質の良い睡眠を確保すれば、髪の成長をサポートできます。ストレスも髪の健康にはよくありません。
ストレスを溜め込まないよう、リラックスできる時間を持てる解消法を自分で見つけましょう。
皮膚科を受診する目安
休止期脱毛症は自然に回復することが多い症状ですが、以下のような場合は皮膚科の受診を検討しましょう。
- 抜け毛が始まってから6ヶ月以上経っても改善が見られない
- 抜け毛の量が減っていかない
- 頭皮に炎症、かゆみ、痛みなどの異常がある
抜け毛が始まってから一定期間を経過しても改善しない場合、抜け毛の量が減らない場合、頭皮に異常がある場合は、他の脱毛症や病気の可能性も考えられます。
皮膚科では、問診や視診、必要に応じて血液検査などを行い、適切な診断と治療を受けることができます。甲状腺機能異常や貧血、亜鉛欠乏症など、内科的な疾患が脱毛の理由として隠れている可能性もあるため、気になる症状がある場合は早めに相談してください。
受診の際は、いつ頃インフルエンザにかかったか、いつから抜け毛が増えたかを伝えるようにしてください。診断や治療の参考になります。
抜け毛を防ぐインフルエンザ予防
インフルエンザによる抜け毛を防ぐには、そもそもインフルエンザに感染しないことが一番の対策です。寒くなり始める時期から、風邪やインフルエンザが特に気になり始めますが、しっかり予防しておきましょう。
日常生活で予防できる習慣を身につけるようにすると、感染リスクを減らす可能性が高まります。
日常でできる感染症対策
【心がけたい感染症対策】
- 手洗いとうがい
- マスク着用
- 室内の湿度を50%~60%に保つ
インフルエンザの予防には、手洗いとうがいが基本です。外出から帰った後や食事の前には、石鹸を使って30秒以上しっかりと手を洗いましょう。手洗いだけでウイルスの多くを洗い流すことができます。
人混みに出かける際には、マスクの着用も効果的です。インフルエンザの流行期である冬季には、積極的にマスクを使用して感染リスク低下につなげるとよいでしょう。
室内の湿度を50~60%に保つことも大切です。乾燥するとウイルスが活発になりやすく、のどや鼻の粘膜も乾燥して防御機能が低下します。加湿器を使うか、濡れタオルを部屋に干すなどして、適度な湿度を維持しましょう。
免疫力を高める生活習慣
【取り入れたい生活習慣】
- 十分な睡眠
- 適度な運動
- バランスのよい食事
免疫力が低下していると、インフルエンザに感染しやすくなります。免疫力を維持するには、規則正しい生活習慣が欠かせません。
十分な睡眠は免疫機能を正常に保つために重要です。夜更かしや睡眠不足が続くと、体の抵抗力が弱まります。毎日同じ時間に寝起きする習慣をつけると体内リズムが整い、免疫力の向上につながります。
適度な運動も免疫力アップに役立ちます。ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす習慣を持ちましょう。
運動に慣れていない状態での過度な運動は逆効果になったりストレスになったりする可能性があります。軽めの運動を長期間継続することがポイントです。
また、バランスの良い食事で栄養をしっかり摂ることも免疫力維持には不可欠です。ビタミンやミネラルを豊富に含む野菜や果物を意識的に食べて、感染症に負けない体づくりを目指しましょう。