若はげに10代がなる原因は?AGAと一時的な薄毛の違い
いわゆる若はげと聞くと20代や30代の方が薄毛になることをイメージしやすいですね。しかし10代で髪の悩みを抱えているケースも見られます。
中学生や高校生の時期に薄毛の症状が出ると、友人の視線が気になったり、自信を失ったりしてしまいます。しかし10代の若はげは決して珍しくありません。
原因を理解して対策すれば改善できる可能性があります。この記事では10代で若はげになる原因を解説し、進行性のAGAと一時的な薄毛の見分け方、今日からできる対策まで紹介します。
10代で若はげになる3つの原因
10代での薄毛は主に3つの原因があります。遺伝的な要因で起こるAGAの場合もあれば、生活習慣が引き金となって髪が抜けるケースも。
どんな原因で髪が抜けているのか、自分に当てはまるものを知って対策する必要があります。
①AGAによる若はげの仕組み
- 男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の影響で脱毛
- 10代後半も発症の可能性あり
- 額の生え際や頭頂部から徐々に薄くなる(M字型・O字型)
AGAは男性ホルモンの影響で起こる進行性の脱毛症です。体内でテストステロンが5α還元酵素と結合すると、ジヒドロテストステロンという強力な男性ホルモンが作られます。
このホルモンが毛根の受容体と結びつくと、髪の成長期間が短くなり、十分に育たないまま抜け落ちてしまいます。
10代後半から20代は男性ホルモンの分泌がピークを迎える時期です。そのため思春期以降であればAGAを発症する可能性はあります。
20代でのAGA発症率は約10%とされています。
参考:日本皮膚科学会 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版(疾患概念・病態と診断、治療:1. 疾患概念)
10代では統計的なデータは出ていないものの、海外では思春期にAGAの兆候が現れることがあるとされています。
参考:Androgenic alopecia:an entity to consider in adolescene
AGAの特徴は額の生え際や頭頂部から徐々に薄くなることです。症状としてはM字型に生え際が後退したり、頭のてっぺんが薄くなったりします。
AGAは進行性の抜け毛ですので、専門の皮膚科やクリニックを受診して治療を受け症状の改善を目指しましょう。
②遺伝と家族歴の影響
- AGA関連の遺伝子はX染色体に含まれる
- 母方の祖父が薄毛の場合は特に注意が必要
家族に薄毛の人がいると、10代でも若はげになるリスクが高まります。特に母方の祖父が薄毛の場合、注意が必要です。
AGAに関連する遺伝子はX染色体に含まれており、男性は母親からX染色体を受け継ぐため、母方からの遺伝の影響を強く受けます。
遺伝の確率を正確に算出するのは難しいですが、特に母親の祖父、曾祖父に薄毛の人がいる場合、自分も発症する可能性を考えて早めにケアを始めましょう。
③生活習慣の乱れが薄毛を招く
- 睡眠不足
- 栄養バランスの偏り
- 眼精疲労
- ストレス
10代の生活習慣は薄毛に大きく影響します。睡眠不足が続くと、髪の成長に必要な成長ホルモンの分泌が減少します。
成長ホルモンは睡眠中に多く分泌されるため、夜更かしや不規則な睡眠は髪の健康を損ないます。
栄養バランスの偏った食事も問題です。ファストフードやインスタント食品に頼りがちな食生活では、髪に必要なタンパク質やビタミン、ミネラルが不足します。
特に亜鉛は髪の主成分であるケラチンの合成に欠かせない栄養素ですが、食事だけで十分な量を摂るのは難しいとされます。
スマホやパソコンの長時間使用による眼精疲労も見逃せません。目の周りの筋肉が緊張すると、頭皮への血流が悪化します。
血流が滞ると髪に栄養が届きにくくなり、抜け毛が増える原因になります。中学生や高校生は部活や勉強、友人関係などでストレスを抱えやすいでしょう。ストレスも頭皮環境を悪化させる要因です。
AGAと一時的な薄毛の違い
10代の薄毛にはAGAのような進行性のものと、一時的に回復する可能性があるものがあります。自分の症状がどちらなのかを知っておくことが大切です。
症状に応じたケアを行うために、そのまま経過を観察しておけばよいものとできるだけ早い治療が必要なものを見分けるポイントを解説します。
AGAの特徴と進行パターン
AGAは進行性の脱毛症で、放置すると徐々に薄毛の範囲が広がります。初期段階では気づきにくいことも多く、「なんとなく髪が薄くなった気がする」程度の変化から始まります。
しかし時間の経過とともに、おでこの生え際や頭頂部の薄毛がはっきりしてきます。
AGAの進行パターンには特徴があります。額の両サイドから後退してM字型になるタイプ、頭頂部から薄くなるO字型、前頭部全体が後退するタイプなどです。
脱毛している部位とその他の部位の境界は比較的ぼんやりしており、数か月から数年かけてゆっくり広がっていきます。
髪質の変化もAGAのサインです。太くてしっかりした髪が細く短い毛に変わり、全体のボリュームが減少します。
抜け毛をよく見ると、細くて短い毛が多く混じっているのがわかります。AGAによる薄毛は自然に治ることはありません。ケアや治療を何もしなければ薄毛が進行し続けます。
一時的な薄毛の種類と症状
一時的な薄毛の代表例が円形脱毛症です。円形脱毛症は性別や年齢に関係なく発症するとされています。
円形脱毛症の特徴は、突然まとまった髪が抜け落ちることです。2日から3日という短期間で地肌が見えるほど脱毛するため、本人が気づかないうちに発症し、家族や友人に指摘されて初めて知るケースも少なくありません。
脱毛部分と正常な髪の境界がはっきりしているのも特徴です。
円形脱毛症の原因は完全には解明されていませんが、自己免疫疾患が有力視されています。免疫細胞が誤って毛根を攻撃してしまい、髪が抜けると考えられています。
ストレスが間接的な要因になることもありますが、ストレス単独で発症するわけではありません。
その他、頭皮の皮脂が過剰に分泌される脂漏性脱毛症や、フケが異常に増えるひこう性脱毛症も10代で見られます。いずれの症状も頭皮環境の改善や適切なヘアケアで回復する可能性があります。
自分でできるAGAと一時的な薄毛の見分け方
| 見分けるポイント | AGA | 一時的な薄毛 |
|---|---|---|
| 進行速度 | 数か月かけて徐々に薄くなる | 数日で急激に抜ける |
| 脱毛部分の形状 | 生え際や頭頂部から広範囲 | 円形・楕円形にくっきり |
| 境界線 | ぼんやりしている | はっきりしている |
| 抜け毛の質 | 細くて短い毛が多い | 正常な長さと太さの毛 |
AGAと一時的な薄毛を見分けるポイントはいくつかあります。まず脱毛の進行速度を確認しましょう。数日で急激に髪が抜けた場合は円形脱毛症、数か月かけて徐々に薄くなってきた場合はAGAの可能性が高くなります。
脱毛部分の形状も手がかりになります。円形や楕円形にくっきりと髪が抜けている場合は円形脱毛症、生え際や頭頂部から広範囲に薄くなっている場合はAGAの可能性があります。
生えている部分と毛がない部分の境界がはっきりしているか、ぼんやりしているかも判断材料です。
抜け毛の質を観察することも役立ちます。細くて短い毛が多く抜ける場合はAGAの兆候です。正常な長さと太さの毛が突然大量に抜けた場合は、円形脱毛症や皮膚疾患などが原因の脱毛を疑ったほうがよいでしょう。
ただし自己判断だけで決めてしまわず、専門医の診察を受けるようにしてください。
10代の若はげのサインと判断基準
薄毛に気づくタイミングは人それぞれですが、早期発見できれば対策も早く始められます。日常生活の中で気づける若はげのサインを知っておくと、手遅れになる前に行動できます。
抜け毛の量と質の変化
【抜け毛のチェックポイント】
- 1日の抜け毛が100本を大きく超える
- 細くて短い毛が多く抜けている
- ブラッシング、シャンプー、枕についた毛を確認
正常な人でも1日に50本から100本の髪が抜けます。これはヘアサイクルによる自然な生え変わりです。しかし100本を大きく超える抜け毛が続く場合、若はげを疑う必要があります。
1日200本以上の抜け毛が見られる場合は要注意です。ブラッシング、シャンプー、枕についた毛などを確かめましょう。
抜け毛の本数だけでなく、質にも注目しましょう。シャンプーの後やドライヤーを使った後に、細くて短い毛が多く落ちている場合は、髪が十分に成長できていないサインです。
健康な髪は太くて長く成長しますが、AGAの影響を受けると成長期が短くなり、細く短い毛のまま抜けてしまいます。
抜ける髪の量が以前より明らかに増えたと感じたら、早めに対策を考えましょう。ただし季節の変わり目には一時的に抜け毛が増える場合もあるため、数週間から1か月程度、様子を見ることも大切です。
生え際と頭頂部の変化
鏡を見たときにおでこが広くなったと感じたら、生え際の後退が始まっているかもしれません。生え際の変化は自分では気づきにくいため、数か月前の写真と比較してみると違いがわかりやすくなります。
額の両サイドから後退するM字型の薄毛は、AGAでよく見られるパターンです。生え際の髪を指で持ち上げてみて、細くて弱々しい毛が目立つ場合も注意が必要です。
健康な生え際には太くてしっかりした髪が並んでいますが、AGAの初期段階では産毛のような細い毛が増えます。
頭頂部は自分で見えにくい部分ですが、スマホで写真を撮って確認できます。つむじの周りが薄くなっていたり、頭皮が透けて見えたりする場合は、若はげのサインかもしれません。
家族に後ろから見てもらう、スマホで写真を撮ってもらうのも有効な方法です。
髪質の変化に気づく
髪全体のボリュームが減ったと感じたら、髪質が変化している可能性があります。以前はハリやコシがあった髪が、細くて柔らかくなることがあります。
スタイリングがしにくくなった、髪がペタンとする、といった変化も若はげの初期症状です。
髪の毛1本1本が細くなると、同じ本数でも全体のボリュームは減少します。髪を触ったときの感触が変わったり、髪を結んだときの束が細くなったりしたら注意しましょう。
髪の太さは健康状態を反映しているため、急激な変化があった場合は早めに原因を探ることが大切です。
頭皮の状態も確認しましょう。頭皮が赤くなっていたり、フケが多く出たり、かゆみがあったりする場合は、頭皮環境が悪化しています。頭皮環境の悪化は抜け毛を増やす原因になるため、シャンプーの見直しや生活習慣の改善が必要です。
10代からできる若はげ対策
10代の若はげ対策は、生活習慣の改善が基本です。いわゆるAGA治療薬の服用や塗布は未成年は禁止されています。
まずは食事や睡眠の見直しなど日常生活でできることから始めましょう。早めの対策が将来の髪を守ります。
生活習慣の見直しポイント
- 睡眠
- 食事
- ストレス管理
- デジタルデバイスの使い方
1.睡眠時間は7時間以上を心がける
睡眠時間の確保が髪の健康には欠かせません。成長ホルモンはタンパク質の合成を促進し、髪を太く丈夫に育てます。
成長ホルモンの分泌は入眠後3時間程度にピークとなります。深い睡眠を確保するために、部活や勉強で忙しくても、最低7時間の睡眠を目指しましょう。
2.食事はタンパク質を摂る
食事では髪の主成分であるタンパク質を意識して摂ります。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食取り入れましょう。
亜鉛を含む食品(牡蠣、レバー、ナッツ類)も髪の成長をサポートします。ビタミンB群やビタミンCは血行を促進し、頭皮環境を整えるのに役立ちます。
3.ストレス管理に運動や趣味の時間を持つ
ストレス管理も大切です。運動や趣味の時間を作り、リフレッシュする機会を持ちましょう。
深呼吸や軽いストレッチは、短時間でもストレス軽減に効果があります。悩みを抱え込まず、信頼できる人や友達に話を聞いてもらうことも心の負担を減らします。
4.スマホやパソコンの使い方
スマホやパソコンの使用時間を減らし、目を休める時間を作りましょう。1時間ごとに5分程度、遠くを見たり目を閉じたりして休憩を取ります。眼精疲労が改善されると、頭皮への血流も良くなります。
正しいヘアケアの方法
シャンプーは1日1回、夜に行うのが基本です。朝シャンは頭皮を守る皮脂を洗い流してしまい、日中の紫外線などのダメージを受けやすくします。
シャンプー前にブラッシングで汚れを浮かせ、ぬるま湯で予洗いしてから泡立てます。爪を立てず、指の腹で頭皮をマッサージするように洗います。
シャンプーの洗い残しは毛穴を詰まらせる原因になるため、すすぎは時間をかけて丁寧に行いましょう。コンディショナーやトリートメントは頭皮につけず、髪の中間から毛先に使います。
ドライヤーは頭皮から20センチ以上離し、同じ場所に熱風を当て続けないようにします。最後に冷風で髪を冷やすと、キューティクルが引き締まります。自然乾燥は雑菌が繁殖しやすく頭皮環境を悪化させるため避けましょう。
カラーやパーマは髪と頭皮に負担をかけます。10代のうちは頻繁な施術を控え、必要な場合は美容師に相談して頭皮へのダメージが少ない方法を選びます。整髪料も洗い残しがないようしっかり落とすことが大切です。
専門医への相談のタイミング
10代のAGA治療には年齢制限があります。AGA治療薬は20歳未満には使用できないため、10代で受けられる治療は限られます。
ただしAGAメソセラピーという頭皮に薬を直接投与する治療方法には対応しているクリニックもあります。
専門医に相談するタイミングは、生活習慣を改善しても症状が進行する場合です。抜け毛が明らかに増えている、生え際の後退が止まらない、頭頂部の薄毛が目立ってきたといった場合は、早めに受診しましょう。
円形脱毛症など、AGAとは異なる脱毛症の可能性もあるため、正確な診断を受けることが大切です。
AGAは早期対応がカギです。症状に気づいた段階で専門医に相談することをおすすめします。
一部クリニックでは18歳以上の方は保護者の同意や同席で外用薬の処方を受けられるところもあります。海外では臨床試験を18歳~19歳の方も行ったため、一定の安全性が示唆されています。
AGAのオンライン診療を提供しているクリニックもあるため、通院が難しい場合でも相談しやすくなっています。無料カウンセリングを実施しているクリニックも多いので、まずは気軽に相談してみましょう。
若はげは一人で悩まず、専門家の力を借りることが改善への近道です。