子どもの風邪が長引く原因は? 病院へ行くタイミングと家庭でのケア方法
お子さんの咳や鼻水がなかなか良くならず、不安に感じていませんか?
子どもは免疫がまだ未熟なため、風邪をくり返したり長引いたりしやすく、ときには中耳炎や副鼻腔炎などを合併することもあります。
多くは家庭でのケアでゆっくり回復していきますが、高い熱が続く・水分が取れない・咳が長く続くといった場合は、早めの受診が大切です。
この記事では、見守りのポイントや受診の目安についてわかりやすく解説します。
- 1942年、神奈川県小田原市で出生
- 鳥取大学医学部卒業
- 順天堂大学医学部附属順天堂病院小児科入局
- 日本小児科医会名誉会長
- 2024年11月旭日双光賞受賞
子どもの風邪が長引く主な原因
子どもが風邪を何度も繰り返したり、症状が続いたりすると不安になる保護者の方は多いものです。
けれども、成長の段階ではさまざまなウイルスに触れて免疫を身につける時期でもあり、こうした経過がみられることは少なくありません。
風邪が長く続いているように見える要因を理解しておくと、日々の対応が少し楽になるかもしれません。
免疫機能が未熟で抵抗力が低い
子どもの体はまだ発達の途中にあり、免疫のはたらきも大人とは異なる段階にあります。
生後しばらくは母親から受け継いだ免疫によって守られていますが、その効果は徐々に弱まり、自分自身で免疫を得ていく時期へ入ります。
一般的には生後半年から1歳半頃が免疫のはたらきが不安定になりやすい時期と考えられ、年齢を重ねるにつれて徐々に安定していきます。
子どもの免疫機能が未熟であることが、風邪が長引く大きな要因となっています。
複数の風邪ウイルスに次々感染している
風邪を引き起こすウイルスは数多く、ライノウイルスやアデノウイルス、コロナウイルスなど、種類によって特徴もさまざまです。
子どもは一つの一つのウイルスによる風邪が治りかけた頃に、また別のウイルスに感染することがよくあります。
幼少期には一年のうちに何度も風邪の症状が出ることがあり、大人の回数と比べると多く感じられることがあります。
複数のウイルスに接触して頻繁に風邪を引くことから、結果的に「長引いている」と感じやすくなります。
保育園や幼稚園での集団生活の影響
集団生活が始まると、周囲の子どもたちからさまざまなウイルスに触れる機会が増えます。
熱が下がった直後は体力が十分に戻っていないこともあり、そのタイミングで再び別のウイルスに感染してしまうケースも見られます。
とくに入園・入学後の数ヶ月は、風邪の症状が頻繁にみられることがありますが、成長とともに徐々に落ち着いていくとされます。
集団生活の環境は家庭とは異なるため、体が慣れるまで時間を要することも理解しておきたいポイントです。
中耳炎や副鼻腔炎などの合併症を起こしている
風邪の症状が続く背景には、中耳炎や副鼻腔炎などの合併症が関係していることもあります。
子どもの耳の構造は大人とは異なり、鼻やのどから細菌やウイルスが届きやすく、中耳炎を起こしやすいとされています。
副鼻腔炎の場合も、鼻の粘膜で起きた炎症が周囲に広がることで症状が長めに続くことがあります。
このような合併症は適切な診察やケアが必要になる場合もあるため、長く続く症状が気になる際は早めに受診すると判断しやすくなります。
すぐに病院を受診すべき症状
子どもが風邪をひいたとき、受診のタイミングに迷う場面は多くあります。とくに夜間や休日の発熱では、救急外来を利用すべきか判断が難しいことがあります。
一般的には、高い熱が出ていても水分がとれ、普段と大きく変わらない様子であれば、急いで受診しなくてよい場合もあります。
ただし、いくつかの症状は緊急性が高いと考えられ、早めの医療機関受診が推奨されることがあります。
生後3ヶ月未満で38度以上の発熱がある
生後3ヶ月未満の赤ちゃんは、本来は母親からもらった免疫に守られているため、熱が出にくい時期です。そのため、この時期に38度以上の熱が出た場合は、重い感染症の可能性が高いと考えられています。
38度以上の熱が確認された場合は、時間帯を問わず医療機関へ早めに相談することが推奨されています。夜間や休日であっても、小児科の救急外来や夜間診療の利用を検討できます。
小さな赤ちゃんは体調の変化が急に起こることがあるため、医師による評価を受けると安心しやすくなります。
水分がとれず脱水の兆候が見られる
子どもは大人に比べて体内の水分量が多く代謝も良いため、発熱や下痢、嘔吐などの際に脱水になりやすいと言われています。
- 泣いても涙が少ない
- 皮膚が乾いている
- おしっこの量や回数が明らかに少ない
- ぼんやりしている、元気がない
- ぐったりしている
おしっこが長時間出ない、水分をほとんど受け付けないといった状態では、早めに医療機関に相談することが望ましいとされています。
意識がはっきりせずぐったりしている
声をかけても反応が弱い、目の焦点が合いにくい、異常に眠り続けているなどの様子がある場合は、意識の変化が疑われます。
こうした状態は緊急性が高いと考えられ、時間帯に関わらず医療機関への受診が勧められることがあります。
また、水分や食事の摂取量が急に減ると、一時的に血糖が下がってぼんやりするケースもあると言われます。
経口補水液が飲める状況であれば試してみてもよいとされますが、飲めない場合や改善がみられない場合は医師に相談することが大切です。
普段と様子が明らかに違うと感じたときは、早めに医療機関を受診して状態を確認してもらいましょう。
呼吸が苦しそうで横になれない
呼吸のしづらさはさまざまな要因で起こることがあり、子ども自身が「息苦しい」と伝えることは少ないため、大人が変化に気づくことが重要です。
- 呼吸数が普段より多い
- 息を吸うと胸やみぞおちがへこむ(陥没呼吸)
- 小鼻が大きく動く(鼻翼呼吸)
- 苦しくて横になるより起きていたがる
- 呼吸のたびにヒューヒューといった音が聞こえる
- 顔色が悪い、唇が紫がかって見える
このような状態は緊急対応が必要になることがあり、救急受診を検討すべき目安とされています。
診療時間内に受診を考えたい目安
子どもの風邪が長引くと、「病院へ行くべきかな」「もう少し様子を見ても大丈夫かな」と迷うことはよくあります。
たいていの風邪は1週間ほどで良くなりますが、症状によっては受診したほうが安心できることもあります。
ここでは、診療時間内に受診を検討したい目安をまとめています。
発熱や鼻水が1週間以上続いている
普通の風邪なら、1週間ほどで熱や鼻水は落ち着いてくることが多いです。しかし、1週間以上続いている場合は、副鼻腔炎など別の病気が隠れている可能性があります。
- 発熱が5日以上続く
- いったん下がった熱がまた上がってきた
長く続く症状は体力を奪い、中耳炎や気管支炎などの合併症を招くこともあります。
症状が1週間以上続く場合は、小児科で診てもらうと安心です。
黄色や緑色のねばり気のある鼻水が続く
風邪の初めは透明な鼻水が多いですが、数日たつと体がウイルスと戦う過程で黄色や緑色になることがあります。
色がついているからといって、すぐ受診が必要というわけではありません。
- 黄色・緑色の鼻水が1週間以上続く
- ねばつきが強く、量が多い
副鼻腔炎になると、鼻水が喉に流れる後鼻漏(こうびろう)が起きたり、鼻づまりで眠りが浅くなることもあります。
中耳炎の原因にもなるため、長引く場合は受診をおすすめします。
耳を痛がったり触りたがったりする
中耳炎は風邪に続いて起きることが多く、鼻の奥から耳へ菌やウイルスが入り込むことで発症します。
小さな子どもは痛みを言葉にしにくいため、次のような様子が見られたら気づいてあげましょう。
- 耳をしょっちゅう触る
- 頭を振る
- 夕方や夜に特にぐずる
- 耳だれが出ている
中耳炎は早めに治療すれば後に影響を残さずに治ることがほとんどです。耳のサインが見られたら、小児科または耳鼻科を受診してみてください。
自宅でできる症状を和らげるケア
子どもの風邪はほとんどが自然に治りますが、家でできるケアをしてあげると、つらさが和らぎ、回復もしやすくなります。
保護者の不安も軽くなるので、ぜひ参考にしてください。
十分な休息とこまめな水分補給
風邪のときは、体がウイルスと戦うためにたくさんのエネルギーを使います。
まずは、しっかり休ませてあげることが一番大切です。発熱していると汗をかきやすく、水分が失われやすくなるため、脱水を防ぐためにも少しずつ、こまめに水分を与えるようにしましょう。
子どもが飲みやすいものであれば、以下の何でもOKです。
- 麦茶
- 湯冷まし
- 子ども用イオン飲料
- うすめた果汁
コップを嫌がるときは、ストローやスプーンを使うと飲んでくれることもあります。
水分をまったく飲めない・おしっこが極端に少ない場合は脱水のサインなので、受診してください。
室温23〜28度・湿度40〜60%を保つ
風邪の回復には、お部屋の環境を整えることも大切です。
- 冬:23〜25度
- 夏:25〜28度
- 湿度:40〜60%
このあたりを目安にすると、子どもが過ごしやすくなります。
乾燥すると喉や鼻の粘膜が傷つきやすく、風邪が悪化しやすくなるため、加湿器や濡れタオルを使って湿度を保ちましょう。
鼻水を吸引して呼吸を楽にしてあげる
子どもは自分で鼻をかめないため、鼻水がたまると呼吸が苦しくなり、眠れない原因になります。鼻水吸引器を使って、こまめに鼻水を取り除いてあげましょう。
- 寝る前
- 起きたとき
- 食事や授乳の前
- お風呂上がり(鼻水が柔らかくなり吸いやすい)
鼻水を放置すると、中耳炎や副鼻腔炎につながることもあります。
家庭で吸うのが難しい場合は、医療機関で吸引してもらうこともできます。
消化の良い食事で体力回復をサポート
風邪のときは胃腸の働きも弱くなるため、無理に食べさせる必要はありません。
食べられそうなときには、消化のよいメニューがおすすめです。
- おかゆ
- やわらかく煮たうどん
- 野菜スープ
回復にはたんぱく質も必要なので、少し加えてあげると良いでしょう。
- 卵
- 大豆製品(豆腐など)
- 魚
逆に、胃に負担がかかるものは避けてください。
- 甘いもの/li>
- 脂っこいもの/li>
- 食物繊維の多い根菜類
- 辛い料理
食欲が戻ってきたら、ビタミンA・Cを含む野菜や果物も免疫の回復に役立ちます。
風邪を繰り返さないための生活習慣
生活習慣を少し見直すだけでも、風邪をひく回数を減らせる可能性があります。毎日の小さな習慣が、お子さんの健康を守る大きな力になります。
今日からできる、簡単な予防のコツをご紹介します。
①手洗いとうがいを習慣にする
手洗いとうがいは、風邪予防の基本です。
手洗いは科学的にも効果が確かめられており、「流水で15秒洗うだけで手についたウイルスが100分の1に減る」とされています。
参照元:ノロウイルスによる食中毒の現状と対策について|厚生労働省
手を洗うときは、石けんで
- 指の間
- 爪の間
- 手首
までしっかり洗いましょう。
子どもが自分で手洗いしやすいように、踏み台を置いたり、ハンドソープを取りやすい位置に置いたりする工夫もおすすめです。
歌を歌いながら洗う、一緒に楽しく手を洗うなど、楽しめる工夫をすると続けやすくなります。
うがいは、ウイルスを洗い流したり、のどの乾燥を防いだりする効果があります。
外から帰ったら、手洗い → うがいの順番で行いましょう。
②栄養バランスの良い食事を心がける
風邪に負けない体づくりには、毎日の食事がとても大切です。
いろいろな食品をバランスよく食べ、腸内環境を整えることが免疫力アップにつながります。
- たんぱく質:肉・魚・卵・大豆製品・乳製品
- ビタミン類:緑黄色野菜、レバー、柑橘類、イチゴ、キウイ
- 発酵食品:ヨーグルト、納豆、味噌
- 食物繊維:さつまいも、かぼちゃ、きのこ類
- オリゴ糖:玉ねぎ、ごぼう、バナナ
一つの食材に偏らず、できるだけ多品目を取り入れた献立を心がけましょう。
③規則正しい睡眠リズムを作る
質の良い睡眠は、免疫力を高めるために欠かせません。寝る時間が遅くなると体内リズムが乱れ、風邪をひきやすくなってしまいます。
睡眠リズムを整えるには、まず起きる時間を一定にすることが大切です。
- 1週間ほど、頑張って朝決まった時間に起こす
- 朝日を浴びて体内時計をリセットする
これだけでも睡眠リズムが整いやすくなります。
寝室の環境も整えましょう。
- スマホやタブレットは寝室に持ち込まない
- できるだけ暗くする
- 寝る1〜2時間前はテレビやゲームを控える
- 室温や湿度を快適に保つ
また、朝食をしっかり食べることも、自然に早寝・早起きのリズムを作るのに役立ちます。
